2009年1月26日月曜日

ザ・チョイス


読み始めた日: 2009-01-21
読み終わった日: 2009-01-25

まずは過去のゴールドラット博士の著作をまとめておきたいと思います。
例によって、順番に読むと理解が深いと思います。

ザ・ゴール
→ 機械メーカーの工場長アレックス・ロゴが工場を再建する話。
ザ・ゴール 2
→ 副社長となったアレックス・ロゴがグループ会社の経営再建に立ち向かう話。
チェンジ・ザ・ルール!
→ ERPソフトを販売するBGソフト社が新しいソリューションを開発する話。
クリティカルチェーン
→ MBAの教授がプロジェクトマネジメントの改善に取り組む話。

今回の「ザ・チョイス」ですが、
ゴールドラットグループに(実際に)提出されたいくつかのレポートを元にした、ゴールドラットさん本人と娘のエフラットさんとの対話、という形で語られます。
これまでのようなドラマ仕立てではないので、面白みには欠けるかもしれません。また、ハッピーエンドの物語ではないので、すっきりした読後感もありません。
その分、書かれている内容を自分自身の立場や経験に照らし合わせて読むことが多く、考えさせられることが多かったです。

題材になっているレポートは大きく4つ。
[1]アパレルメーカーのサプライチェーン
[2]パン屋さんのサプライチェーンについて。アパレルメーカーでやったことがパン屋さんのようにもともと配送頻度の高い業界にも適用できるかどうか。
[3]インドでFMCG(FastMovingCosumerGoods)を扱う企業が途中で改善をやめてしまった例
[4]ゴールドラットグループ自身が直面した問題と、それへの2つの対応策

[1]では、以下の3つの障害を取り除くことの必要性について語られます。TOC の知識のある方にはお馴染みの内容です。
・現実が複雑だと考えること。
・対立は当たり前で仕方のないものだと考えること。
・人は他人を責める習性があること。まず相手の利益を考えることで解が見えてくる。

[2]は、トートロジーからの脱却について。
『パン屋さんは保守的だ』という題材のトートロジーを例に、
・ロジックが循環していると原因をはっきりと突き止めることはできない。
・本当の原因は複数の結果を引き起こす。
・物事はそもそもシンプルであると信じること。
・トートロジーから抜け出す訓練を日々行うこと。
の大切さを説きます。

[3]では、コンフォートゾーンから抜け出すことの難しさについて。
コンフォートゾーンとは、『人が、原因と結果に関して十分な知識を有している領域、また、ある行動に対してどのような結果が予測されるのか十分な知識を有している領域』と定義した上で、
・コンフォートゾーンの外に追い出さないといけない。
・原因と結果の関係を相手の経験で検証してもらい、受け入れてもらうことが大切である。
・妥協をしないこと。
について書かれています。

最後の[4]では、以下の2つのどちらを選ぶかは、あなた自身の選択の自由(フリーダム・オブ・チョイス)である、というメッセージが語られ、締めくくりとなります。
(選択1)自分を取り巻く環境を恨むこと
(選択2)現実が与えてくれた贈り物を感謝して刈り取ること

タイトルの「ザ・チョイス」はこのメッセージが込められた物だと理解しました。
全体通して、ゴールドラットさんの哲学が良く伝わってきます。

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最後に愚痴。

ゴールドラット博士は「人は元々善良である」と説きますが、
結果の出ないリーダーはきちんと退場する仕組みが出来ているアメリカとは違い、
「ワンマン社長」や「年功序列システム」が過剰に保護される日本のシステムでは、
「善良でない」「人の話を聞こうとしない」リーダーもまた多いような気がします。
(ヨーロッパはよく知らない)

…なーんてことを言うと、ゴールドラット博士からは「愚痴っていては駄目だ。それは君の選択次第だ。」と言われてしまいそうですが、
正直、なかなか難しいなあというのが私の印象です。
確かに、明晰な頭脳でロジックを紐解けば選択肢はいくつかあるのですが、それを実行に移せないのもまた事実。
私には充実した人生を送ることはできないのでしょうか。

感情・直感・ロジックの3つはスパイラルでつながっていると書かれています。
私の場合、感情を上向きに持って行けないことが大きな課題なのだと思います。
ふぅ…

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